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実はもっと重く、悲惨な内容を想像していたのだが、それはいい意味で裏切られた。
兄妹は狡く、軽やかで、社会に対する「あっかんべー」がよく似合っていた。
インディペンデントは、こうでなくっちゃ。
「ポンヌフの恋人」「オアシス」「息もできない」……。
これまで幾人もの、強烈にもがく男女に出会ってきた。
平成が終わろうとしている狭間に、まさかまた出会えるとは。
生きるのみ!もう、それしかないんだ。
障がい、貧困、風俗…
とにかく話は暗い。
でもそれは当然だ。
この国の現実が暗いんだもの。
これは、2019年の日本の現実をわれわれに突きつける映画だ。
この社会に生きる者、必見!
神は、兄妹を試されている。
何故そこまで試練を与えたもうのか?
答えは、風に吹かれている。
岬の突端を吹き抜ける風に。
期待のニューフェイス松浦祐也、和田光沙主演。
名バイプレイヤー北山雅康を迎え、片山慎三監督が放つ、鮮烈のデビュー作!!
惹句師ふうに言うとこんな感じ。
ほんとパワフルな作品。見てね。
『岬の兄妹』は噛みついて来る映画だ。
例えばノンフィクション、またはドキュメンタリーといった格式のある正当性に。
あるいは我々の中にある偽善や倫理観に。
噛みつかれれば怒る人もいれば泣く人もいると思う。
自分はこの映画を観ながら笑ってしまいました。
そしてつくづく弱い人間だと気付かされました。
皆さんもこの映画を観て自分が何者かを知ってください。
勇気をもって差別と格差という指弾されかねない題材にぶつかっている態度にまず打たれた。
試行錯誤と直感、キャストとスタッフの真摯な取り組み方がそのまま表れている映画だ。
そしてラストの主人公二人の兄妹の表情はやっとここに辿り着くしかないものになっていると思った
あらゆることを吹き飛ばす笑いと生命の躍動。
クソみたいな世の中にクソを投げつけてでも必死に生きる兄妹の美しさよ。
松浦裕也と和田光沙を見ているだけで胸が焦げついた。
映画で出来る事はほんの少しかもしれないが、それでも投げつけたい。
世の中!この映画みろよ!
自閉症の妹に売春させ生計立てる…ショックだった。
救いようのないほど気分が落ちる。
それだけすごく嫌なものをみてしまった。
そんな中にも切ないくらいの兄妹愛がみえるんだよ。
いい映画だった、ぜひ観てほしい。
そう言いたいけど、そう言えないくらいの映画だった。
暴力の行方、性的描写、観念の飛躍、全てが片山監督の根幹にあるポン・ジュノのカットの積み重ねを見ているようだ。
ラストの岬の終焉の仕方にも大いに頷いた。
処女作としては百点満点を付与する。
2019年の最初にとんでもない映画を見ました。
目を背けたくなるけど目を離してはいけない強烈な作品。
容赦ない展開と描写の数々、そして作品の中心にいる2人の兄妹、松浦祐也さんと和田光沙さんの芝居に震えました。
メジャーでは絶対に見れない作品、胸にズドンと響きました。
「正視できないほど恐ろしい設定の映画」とツイッターに書いたら、「こういう現実もあるんです!」といくつもリプライされた。
役者さんたちの凄い演技に圧倒される、リアリティあふれる力強く素晴らしい作品。
私たちが見まいとして世界から隠そうとしているもの、目を背けようとしている現実、それを真正面から描いた力強い作品だ。
貧困と障害者と性いうタブーともいえる問題を描いて、その映像には嫌悪すら感じ兼ねないが、そこには片山慎三監督の弱者への強い愛が貫かれている。
この映画を観る勇気が果たしてあなたにはあるだろうか?
愛を求めて咆哮をあげる妹の肢体は異様に白く、足を引きずり彷徨う兄は手負いの獣のよう。
飛ぶことはおろか、走ることさえままならない時代にあっても、僕たちは次の一歩、その次の一歩を踏み出すしかない。
違う人生を生きているが松浦祐也さんの演じた兄の姿に自分自身の一端を重ねてしまった。
清貧という言葉の嘘臭さを清々しいまでの正直さで暴く兄妹から目が離せない。つまりそれは一周回って清貧な映画ということだろうか。俳優の地力を逃すことのない撮影、活かしきった脚本に拍手。
現代韓国映画の巨匠たちの遺伝子を受け継ぐ片山慎三監督が、冷徹且つユーモラスに描くのは、貧しく無知な兄妹の地獄めぐり。
和田光沙演じるヒロインの、イノセントで “菩薩”のような佇まいに、心を鷲掴みにされた。
「万引き家族」に続く「売春家族」?
ちょっと目を背いてしまうほど演技と思えない時があります。
「ジャパノロジー」では伝えられない隠された日本がありました。
いつ、誰の身に、どんな出来事が起こるかなんて誰にもわからない。
それでも命があって愛があって生まれた命はどんなに厳しい環境だろうと生きていくしかないんだと、猛烈に厳しいメッセージを感じた。
予定調和では終わり得ない、とんでもない作品だ。
自分が必死で隠してるダメな部分を煮こごりにしたような、
そんな良夫が愛しくてしょうがない。
良夫が今日もどこかで生きているなら、自分も頑張ろうと思える。
たとえ物語に救いがなくても、人間の肉っぽさがとても温かい。
強烈で繊細、ストイックに研ぎ澄まされた一切無駄のない映画。
切なく哀しいリアリズム。
物語ることのその気迫に面食らった。
あの兄妹の生命力と幻想だけが岬の街の救いだった。
人間を好き過ぎる人間だけが到達する境地なのか、一作目にして凄まじい。
生まれて初めて見た実写映画、フェリーニの
『道』が今だに忘れられないのと同じ様に、
この物語を死ぬまで引きずっていくかもしれない。
醜く、愚かで、哀しく、美しい。
これは、映画だ!
この映画やべえなと思わず口にしてしまった。
目をそむけたくなるほどの悲惨な現実を描きながら、
どこか図太い明るさや美しさを湛え、同時に喜劇でもあるという驚くべき傑作。
実に多彩で複雑なニュアンス、映画としての確かな豊かさ。
差別する側、される側が幾重にも入り込んだ対比も非常に鮮やか。
僅か89分の中にこれだけの要素を無駄なく盛り込めるこの手腕は、
間違いなく今後の日本映画界のトップ監督の一人となってゆくべき人材の登場と言い切って良いと思う。
好き嫌いを別にしても今年の日本映画最大の衝撃が来てしまった。
※TBSラジオ「アフター6ジャンクション」より