業界激震 角界からのコメント 慎三、君はなんてイカれた映画監督だ!力強く美しい、ここまで大胆な作品が生まれるとは…衝撃を受けたよ。多くの論争を巻き起こす見事な傑作だ。おめでとう。ポン・ジュノ(映画監督)
今年の日本映画最大の衝撃が来てしまった。ライムスター宇多丸(ラッパー/ラジオパーソナリティー) 実はもっと重く、悲惨な内容を想像していたのだが、それはいい意味で裏切られた。兄妹は狡く、軽やかで、社会に対する「あっかんべー」がよく似合っていた。インディペンデントは、こうでなくっちゃ。松江 哲明(ドキュメンタリー監督) 目を背けたく、吐き気を催すほど悲痛な傑作喜劇 菊地 成孔(音楽家/ 文筆家) 「ポンヌフの恋人」「オアシス」「息もできない」……。これまで幾人もの、強烈にもがく男女に出会ってきた。平成が終わろうとしている狭間に、まさかまた出会えるとは。生きるのみ!もう、それしかないんだ。呉 美保(映画監督) これを喰らったら、もうぬるいことはやってられない。すべての日本映画がぶっ潰れてしまうかもしれない。森 直人(映画評論家) 障がい、貧困、風俗…とにかく話は暗い。でもそれは当然だ。この国の現実が暗いんだもの。これは、2019年の日本の現実をわれわれに突きつける映画だ。この社会に生きる者、必見!寺脇 研(映画評論家) 神は、兄妹を試されている。何故そこまで試練を与えたもうのか?答えは、風に吹かれている。岬の突端を吹き抜ける風に。期待のニューフェイス松浦祐也、和田光沙主演。名バイプレイヤー北山雅康を迎え、片山慎三監督が放つ、鮮烈のデビュー作!!惹句師ふうに言うとこんな感じ。ほんとパワフルな作品。見てね。犬童 一心(映画監督) 『岬の兄妹』は噛みついて来る映画だ。例えばノンフィクション、またはドキュメンタリーといった格式のある正当性に。あるいは我々の中にある偽善や倫理観に。噛みつかれれば怒る人もいれば泣く人もいると思う。自分はこの映画を観ながら笑ってしまいました。そしてつくづく弱い人間だと気付かされました。皆さんもこの映画を観て自分が何者かを知ってください。山下敦弘(映画監督) 勇気をもって差別と格差という指弾されかねない題材にぶつかっている態度にまず打たれた。試行錯誤と直感、キャストとスタッフの真摯な取り組み方がそのまま表れている映画だ。そしてラストの主人公二人の兄妹の表情はやっとここに辿り着くしかないものになっていると思った。瀬々敬久(映画監督) あらゆることを吹き飛ばす笑いと生命の躍動。クソみたいな世の中にクソを投げつけてでも必死に生きる兄妹の美しさよ。松浦裕也と和田光沙を見ているだけで胸が焦げついた。映画で出来る事はほんの少しかもしれないが、それでも投げつけたい。世の中!この映画みろよ!白石和彌(映画監督) 最底辺のふたりなのに、不思議と陰鬱な感じにならないのは監督の手腕でしょうか。イ・チャンドン監督の『オアシス』やATGが好きな方には、一見の価値以上。樋口毅宏(作家) 脳に衝撃をくらいました。重たい一撃。問題作だと思います。良い意味だけじゃなくて。真魚(女優) 自閉症の妹に売春させ生計立てる…ショックだった。救いようのないほど気分が落ちる。それだけすごく嫌なものをみてしまった。そんな中にも切ないくらいの兄妹愛がみえるんだよ。いい映画だった、ぜひ観てほしい。そう言いたいけど、そう言えないくらいの映画だった。フィフィ(タレント) 暴力の行方、性的描写、観念の飛躍、全てが片山監督の根幹にあるポン・ジュノのカットの積み重ねを見ているようだ。ラストの岬の終焉の仕方にも大いに頷いた。処女作としては百点満点を付与する。香川照之(俳優) 2019年の最初にとんでもない映画を見ました。目を背けたくなるけど目を離してはいけない強烈な作品。容赦ない展開と描写の数々、そして作品の中心にいる2人の兄妹、松浦祐也さんと和田光沙さんの芝居に震えました。メジャーでは絶対に見れない作品、胸にズドンと響きました。小路紘史(映画監督) 「正視できないほど恐ろしい設定の映画」とツイッターに書いたら、「こういう現実もあるんです!」といくつもリプライされた。役者さんたちの凄い演技に圧倒される、リアリティあふれる力強く素晴らしい作品。佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト) 私たちが見まいとして世界から隠そうとしているもの、目を背けようとしている現実、それを真正面から描いた力強い作品だ。貧困と障害者と性いうタブーともいえる問題を描いて、その映像には嫌悪すら感じ兼ねないが、そこには片山慎三監督の弱者への強い愛が貫かれている。この映画を観る勇気が果たしてあなたにはあるだろうか?桝井省志(映画プロデューサー) 愛を求めて咆哮をあげる妹の肢体は異様に白く、足を引きずり彷徨う兄は手負いの獣のよう。飛ぶことはおろか、走ることさえままならない時代にあっても、僕たちは次の一歩、その次の一歩を踏み出すしかない。違う人生を生きているが松浦祐也さんの演じた兄の姿に自分自身の一端を重ねてしまった。中川龍太郎(映画監督) 思わず目を背けたくなるような切実さが、美麗なカメラ・ワークによって丁寧に切り取られ、観る者の心を揺さぶる。久し振りに「映画」の力を確認した!本広克行(映画監督) これ以上ないほどハードな題材を描いた、これ以上ないほど端正で美しい作品。もう二度と観たくはないけれど、絶対に一度は観たほうがいい。宇野維正(映画・音楽ジャーナリスト) 清貧という言葉の嘘臭さを清々しいまでの正直さで暴く兄妹から目が離せない。つまりそれは一周回って清貧な映画ということだろうか。俳優の地力を逃すことのない撮影、活かしきった脚本に拍手。 深田晃司(映画監督) 現代韓国映画の巨匠たちの遺伝子を受け継ぐ片山慎三監督が、冷徹且つユーモラスに描くのは、貧しく無知な兄妹の地獄めぐり。和田光沙演じるヒロインの、イノセントで “菩薩”のような佇まいに、心を鷲掴みにされた。松崎まこと(映画活動家・放送作家) 「万引き家族」に続く「売春家族」?ちょっと目を背いてしまうほど演技と思えない時があります。「ジャパノロジー」では伝えられない隠された日本がありました。ピーター・バラカン(ブロードキャスター) いつ、誰の身に、どんな出来事が起こるかなんて誰にもわからない。それでも命があって愛があって生まれた命はどんなに厳しい環境だろうと生きていくしかないんだと、猛烈に厳しいメッセージを感じた。予定調和では終わり得ない、とんでもない作品だ。麒麟・田村裕(芸人) 自分が必死で隠してるダメな部分を煮こごりにしたような、そんな良夫が愛しくてしょうがない。良夫が今日もどこかで生きているなら、自分も頑張ろうと思える。たとえ物語に救いがなくても、人間の肉っぽさがとても温かい。尾崎世界観(クリープハイプ) 強烈で繊細、ストイックに研ぎ澄まされた一切無駄のない映画。切なく哀しいリアリズム。物語ることのその気迫に面食らった。あの兄妹の生命力と幻想だけが岬の街の救いだった。人間を好き過ぎる人間だけが到達する境地なのか、一作目にして凄まじい。池松壮亮(俳優) 正解がわからない。苦しかった。ここまで曝け出すのかと、、制御できないくらいの溢れ出るパワーがある作品。観客の方と一緒に考えたい。高良健吾(俳優) 最後のふたりの表情が焼き付いて離れない。痛烈だ。阿部広太郎(コピーライター) この物語を死ぬまで引きずっていくかもしれない。大塚恭司 (テレビドラマ演出家)
イントロダクション
障碍をもつ兄妹が犯罪に手を染めるとき、二つの人生が動きだす―

港町、仕事を干され生活に困った兄は、自閉症の妹が町の男に体を許し金銭を受け取っていたことを知る。罪の意識を持ちつつも、お互いの生活のため妹の売春の斡旋をし始める兄だったが、今まで理解のしようもなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑う日々を送るのだった。そんな時、妹の心と体にも変化が起き始めていた・・・。

ふたりぼっちになった障碍を持つ兄妹が、犯罪に手を染めたことから人生が動きだす。地方都市の暗部に切り込み、家族の本質を問う、心震わす衝撃作―。

ポン・ジュノ監督の元で研鑚を積んだ日本人監督による初長編監督作!

監督は『TOKYO!』(08)※ポン・ジュノ監督パート、『母なる証明』(09)、『マイ・バック・ページ』(11)、『苦役列車』(12)など、ポン・ジュノ監督作や山下敦弘監督作に助監督として携わった片山慎三。本作では脚本と編集も自身で行い、一年間、季節ごとの撮影を繰り返し完成まで二年以上かけた、まさに心血を注いだ妥協なき骨太な傑作だ。

兄を演じるのは、冨永昌敬監督作『ローリング』(15)での演技が印象に残る名バイプレーヤー、松浦祐也。妹を演じるのは瀬々敬久監督作『菊とギロチン』(18)で女力士役に挑戦し、本作でも体当たりの演技を見せる和田光沙。また産婦人科医役で、1980年代の日活ロマンポルノを代表する女優、風祭ゆきが特別出演しているのも見逃せない。

ストーリー

また、真理子が居なくなった・・・

自閉症の妹のたびたびの失踪を心配し、探し回る兄の良夫だったが、今回は夜になっても帰ってはこない。
やっと帰ってきた妹だが、町の男に体を許し金銭を受け取っていたことを知り、妹をしかりつける。
しかし、罪の意識を持ちつつも互いの生活のため妹へ売春の斡旋をし始める兄。このような生活を続ける中、今まで理解のしようもなかった妹の本当の喜びや悲しみに触れ、戸惑う日々を送る。
そんな時、妹の心と身体にも変化が起き始めていた…。ふたりぼっちになった障碍を持つ兄妹が、犯罪に手を染めたことから人生が動きだす。

2019年、日本映画界に新たな衝撃、新たな伝説が生まれようとしている。

場面写真
キャスト
松浦祐也

道原良夫 役松浦祐也まつうら ゆうや

1981年4月14日生まれ、埼玉県出身。俳優・曽根晴美の付き人を経て俳優となる。『押入れ』(03/城定秀夫監督)でデビュー。映画・ドラマをはじめ舞台やCMなど幅広く活躍。代表作に『初恋』(05/塙幸成監督)、『マイ・バック・ページ』(11/山下敦弘監督)、『ローリング』(15/冨永昌敬監督)、『エミビアのはじまりとはじまり』(16/渡辺謙作監督)、『AMY SAID エイミー・セッド』(17/村本大志監督)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18/冨永昌敬監督)、『船長さんのかわいい奥さん』(18/張元香織監督)、『泣き虫しょったんの奇跡』(18/豊田利晃監督)、『空母いぶき』(19/若松節朗監督)、『ウィーアーリトルゾンビーズ』(19/長久允監督)などがある。

コメント

『岬の兄妹』は有名俳優や潤沢な予算のある作品ではありません。内容もなかなか人が手を出さない事に向き合っています。ただ映画祭での初上映の時、会場から大きな笑いが何度も起き驚きました。作品の熱量は必ず観客に伝わると信じて映画を続けています。どうぞ観てやってくださいませ。

和田光沙

道原真理子 役和田光沙わだ みさ

1983年12月30日生まれ、東京都出身。『靴が浜温泉コンパニオン控室』(08/緒方明監督)でデビュー。映画を中心に、定期的に舞台にも出演。代表作にMOOSIC LAB 2014で審査員特別賞を受賞した『あんこまん』(14/中村祐太郎監督)、『なりゆきな魂、』(17/瀬々敬久監督)、『菊とギロチン』(18/瀬々敬久監督)、『止められるか、俺たちを』(18/白石和彌監督)、『ハード・コア』(18/山下敦弘監督)などがある。

コメント

監督の掛け声の下、みんなで色んなボールを出し合い、筋書きの無い物語を積み上げ、映画『岬の兄妹』が完成し、ご支援のもとに上映していただける事になりました。どうか心の一番素直で、自由な目で、この映画を見届けていただけたら幸いです。平成を仕舞う永久不滅の人情喜劇です。

溝口肇 役北山雅康きたやま まさやす

1967年4月15日生まれ、京都府出身。『ダウンタウンヒーローズ』(88/山田洋次監督)でデビュー。『男はつらいよ』では第40~49作まで、『釣りバカ日誌』では5~20(ファイナル)まで出演。山田洋次監督作の常連俳優だ。代表作に『踊る大捜査線 THE MOVIE』(98/本広克行監督)、『雨の町』(06/田中誠監督)、『グッドモーニングショー』(16/君塚良一監督)、ドラマ「牙狼~makaisenki~」(11/TXほか)、「仮面ティーチャー」(13/NTV)、「銭形警部」(17/NTV、WOWOW、hulu)、「ミス・シャーロック」(18/hulu)など、映画・ドラマをはじめ舞台やCMなど幅広く活躍する。

場面写真
監督/スタッフ
片山慎三

監督片山慎三かたやま しんぞう

1981年2月7日生まれ。大阪府出身。中村幻児監督主催の映像塾を卒業後、『TOKYO!』(08/オムニバス映画 ※ポン・ジュノ監督パート)、『母なる証明』(09/ポン・ジュノ監督)、また、『マイ・バック・ページ』(11/山下敦弘監督)、『苦役列車』(12/山下敦弘監督)、『味園ユニバース』(15/山下敦弘監督)、『花より男子ファイナル』(08/石井康晴監督)、『山形スクリーム』(09/竹中直人監督)などの作品に助監督として参加。監督作として「アカギ」第7話(15/BSスカパー)、青森の斜陽館で上映されているシュートムービーアニメーション『ニンゲン、シッカク』(17)などがある。また、現代アーティスト村上隆のアニメシリーズ『シックスハートプリンセス』の5話、6話、7話の脚本も担当している。

コメント

貧困、障害、性、犯罪、暴力…そういったものを包み隠さず描きました。観た方の価値観が変わるような映画になればと思いながら一切の妥協なしで二年間かけて作りました。是非、一人でも多くの方に観てもらいたいです。ありがとうございます。

撮影池田直矢いけだ なおや

1980年9月13日生まれ。撮影を高間賢治、阪本善尚、小林元、木村大作に師事。撮影助手として参加した作品に『ソラニン』(10/三木孝浩監督)、『スマグラー おまえの未来を運べ』(11/石井克人監督)、『みなさん、さようなら』(13/中村義洋監督)、『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』(13/御法川修監督)、『北のカナリヤたち』(12/阪本順治監督)、『追憶』(17/降旗康男監督)、『散り椿』(18/木村大作監督)、撮影作品に『泣き虫ピエロの結婚式』(16/御法川修監督)、『レオン』(18/塚本連平監督)、『スウィート・ビター・キャンディ』(19/中村祐太郎監督)、日台合作映画『PARADISE NEXT』(19 ※公開予定/半野喜弘監督)などがある。

撮影春木康輔はるき こうすけ

日活芸術学院卒業後、2009年よりフリーランスで活動開始。映画、CMなど多くの映像制作現場に撮影助手で参加する傍ら、インディペンデント作品に撮影で携わる。主な撮影作品に『どんずまり便器』(12/小栗はるひ監督)、サウスハンプトン国際映画祭で最優秀外国語映画賞を受賞した『SUMMER TIME』(14/札内幸太監督)、PFFアワード2014 ジェムストーン賞を受賞した『ネオ桃太郎』(14/小田学監督)、『この音が聴こえているか』(15/戸田彬弘監督)、『あなたの記憶を、私はまだ知らない』(16/佐藤リョウ監督)、『万葉の結び』(17/濱谷裕平監督)、『ライズ-ダルライザー THE MOVIE-』(18/佐藤克則監督)などがある。

音楽高位妃楊子たかい ひよこ

1993年2月14日。東京都出身。作曲家、編曲家、ピアニスト。3歳でクラシックピアノ、エレクトーンを始める。6歳で作曲を学び始める。幼少期から数々のコンクール、発表会に出演し、自作曲でプロの器楽奏者と共演。都立青山高校に入学、管弦楽団部に所属し、打楽器を学ぶ。2011年、東京藝術大学音楽学部作曲科へ現役で入学。在学中より、ミュージカルの作曲や音楽監督、ダンス、映像作品、ポップスの編曲など幅広く手がける。2015年、同大学を卒業。現在は映画やTV、舞台や新体操への楽曲提供、シンガーのピアノサポート、都内のゴスペルスクールのピアノ講師、ホテルやバーでの演奏、ダンサーとしてPV出演など、アーティストとしてジャンルを問わず活動中。これまでピアノを 林田直子、佐伯真魚、山城浩一に、作曲を喜久邦博、宮崎茂、森垣桂一、安良岡章夫、各師に師事。

実はもっと重く、悲惨な内容を想像していたのだが、それはいい意味で裏切られた。
兄妹は狡く、軽やかで、社会に対する「あっかんべー」がよく似合っていた。
インディペンデントは、こうでなくっちゃ。

松江 哲明
(ドキュメンタリー監督)

目を背けたく、
吐き気を催すほど悲痛な傑作喜劇

菊地 成孔
(音楽家/ 文筆家)

「ポンヌフの恋人」「オアシス」「息もできない」……。
これまで幾人もの、強烈にもがく男女に出会ってきた。
平成が終わろうとしている狭間に、まさかまた出会えるとは。
生きるのみ!もう、それしかないんだ。

呉 美保
(映画監督)

これを喰らったら、もうぬるいことはやってられない。
すべての日本映画がぶっ潰れてしまうかもしれない。

森 直人
(映画評論家)

障がい、貧困、風俗…

とにかく話は暗い。
でもそれは当然だ。
この国の現実が暗いんだもの。
これは、2019年の日本の現実をわれわれに突きつける映画だ。
この社会に生きる者、必見!

寺脇 研
(映画評論家)

神は、兄妹を試されている。
何故そこまで試練を与えたもうのか?
答えは、風に吹かれている。
岬の突端を吹き抜ける風に。
期待のニューフェイス松浦祐也、和田光沙主演。
名バイプレイヤー北山雅康を迎え、片山慎三監督が放つ、鮮烈のデビュー作!!

惹句師ふうに言うとこんな感じ。
ほんとパワフルな作品。見てね。

犬童 一心
(映画監督)

『岬の兄妹』は噛みついて来る映画だ。
例えばノンフィクション、またはドキュメンタリーといった格式のある正当性に。
あるいは我々の中にある偽善や倫理観に。
噛みつかれれば怒る人もいれば泣く人もいると思う。
自分はこの映画を観ながら笑ってしまいました。
そしてつくづく弱い人間だと気付かされました。
皆さんもこの映画を観て自分が何者かを知ってください。

山下敦弘
(映画監督)

勇気をもって差別と格差という指弾されかねない題材にぶつかっている態度にまず打たれた。
試行錯誤と直感、キャストとスタッフの真摯な取り組み方がそのまま表れている映画だ。
そしてラストの主人公二人の兄妹の表情はやっとここに辿り着くしかないものになっていると思った

瀬々敬久
(映画監督)

あらゆることを吹き飛ばす笑いと生命の躍動。
クソみたいな世の中にクソを投げつけてでも必死に生きる兄妹の美しさよ。
松浦裕也と和田光沙を見ているだけで胸が焦げついた。
映画で出来る事はほんの少しかもしれないが、それでも投げつけたい。

世の中!この映画みろよ!

白石和彌
(映画監督)

最底辺のふたりなのに、不思議と陰鬱な感じにならないのは監督の手腕でしょうか。
イ・チャンドン監督の『オアシス』やATGが好きな方には、一見の価値以上。

樋口毅宏
(作家)

脳に衝撃をくらいました。
重たい一撃。
問題作だと思います。
良い意味だけじゃなくて。

真魚
(女優)

自閉症の妹に売春させ生計立てる…ショックだった。
救いようのないほど気分が落ちる。
それだけすごく嫌なものをみてしまった。
そんな中にも切ないくらいの兄妹愛がみえるんだよ。
いい映画だった、ぜひ観てほしい。
そう言いたいけど、そう言えないくらいの映画だった。

フィフィ
(タレント)

暴力の行方、性的描写、観念の飛躍、全てが片山監督の根幹にあるポン・ジュノのカットの積み重ねを見ているようだ。
ラストの岬の終焉の仕方にも大いに頷いた。
処女作としては百点満点を付与する。

香川照之
(俳優)

2019年の最初にとんでもない映画を見ました。
目を背けたくなるけど目を離してはいけない強烈な作品。
容赦ない展開と描写の数々、そして作品の中心にいる2人の兄妹、松浦祐也さんと和田光沙さんの芝居に震えました。
メジャーでは絶対に見れない作品、胸にズドンと響きました。

小路紘史
(映画監督)

「正視できないほど恐ろしい設定の映画」とツイッターに書いたら、「こういう現実もあるんです!」といくつもリプライされた。
役者さんたちの凄い演技に圧倒される、リアリティあふれる力強く素晴らしい作品。

佐々木俊尚
(作家・ジャーナリスト)

私たちが見まいとして世界から隠そうとしているもの、目を背けようとしている現実、それを真正面から描いた力強い作品だ。
貧困と障害者と性いうタブーともいえる問題を描いて、その映像には嫌悪すら感じ兼ねないが、そこには片山慎三監督の弱者への強い愛が貫かれている。

この映画を観る勇気が果たしてあなたにはあるだろうか?

桝井省志
(映画プロデューサー)

愛を求めて咆哮をあげる妹の肢体は異様に白く、足を引きずり彷徨う兄は手負いの獣のよう。
飛ぶことはおろか、走ることさえままならない時代にあっても、僕たちは次の一歩、その次の一歩を踏み出すしかない。
違う人生を生きているが松浦祐也さんの演じた兄の姿に自分自身の一端を重ねてしまった。

中川龍太郎
(映画監督)

思わず目を背けたくなるような切実さが、美麗なカメラ・ワークによって丁寧に切り取られ、観る者の心を揺さぶる。久し振りに「映画」の力を確認した!

本広克行
(映画監督)

これ以上ないほどハードな題材を描いた、これ以上ないほど端正で美しい作品。
もう二度と観たくはないけれど、絶対に一度は観たほうがいい。

宇野維正
(映画・音楽ジャーナリスト)

清貧という言葉の嘘臭さを清々しいまでの正直さで暴く兄妹から目が離せない。つまりそれは一周回って清貧な映画ということだろうか。俳優の地力を逃すことのない撮影、活かしきった脚本に拍手。

深田晃司
(映画監督)

現代韓国映画の巨匠たちの遺伝子を受け継ぐ片山慎三監督が、冷徹且つユーモラスに描くのは、貧しく無知な兄妹の地獄めぐり。
和田光沙演じるヒロインの、イノセントで “菩薩”のような佇まいに、心を鷲掴みにされた。

松崎まこと
(映画活動家・放送作家)

「万引き家族」に続く「売春家族」?
ちょっと目を背いてしまうほど演技と思えない時があります。
「ジャパノロジー」では伝えられない隠された日本がありました。

ピーター・バラカン
(ブロードキャスター)

いつ、誰の身に、どんな出来事が起こるかなんて誰にもわからない。
それでも命があって愛があって生まれた命はどんなに厳しい環境だろうと生きていくしかないんだと、猛烈に厳しいメッセージを感じた。
予定調和では終わり得ない、とんでもない作品だ。

麒麟・田村裕
(芸人)

自分が必死で隠してるダメな部分を煮こごりにしたような、
そんな良夫が愛しくてしょうがない。
良夫が今日もどこかで生きているなら、自分も頑張ろうと思える。
たとえ物語に救いがなくても、人間の肉っぽさがとても温かい。

尾崎世界観
(クリープハイプ)

強烈で繊細、ストイックに研ぎ澄まされた一切無駄のない映画。
切なく哀しいリアリズム。
物語ることのその気迫に面食らった。
あの兄妹の生命力と幻想だけが岬の街の救いだった。
人間を好き過ぎる人間だけが到達する境地なのか、一作目にして凄まじい。

池松壮亮
(俳優)

正解がわからない。
苦しかった。ここまで曝け出すのかと、、
制御できないくらいの溢れ出るパワーがある作品。
観客の方と一緒に考えたい。

高良健吾
(俳優)

行って欲しくない方にどんどん行く。
最後のふたりの表情が
焼き付いて離れない。
痛烈だ。

阿部広太郎
(コピーライター)

生まれて初めて見た実写映画、フェリーニの
『道』が今だに忘れられないのと同じ様に、
この物語を死ぬまで引きずっていくかもしれない。

醜く、愚かで、哀しく、美しい。
これは、映画だ!

大塚恭司
(テレビドラマ演出家)

この映画やべえなと思わず口にしてしまった。
目をそむけたくなるほどの悲惨な現実を描きながら、
どこか図太い明るさや美しさを湛え、同時に喜劇でもあるという驚くべき傑作。
実に多彩で複雑なニュアンス、映画としての確かな豊かさ。
差別する側、される側が幾重にも入り込んだ対比も非常に鮮やか。
僅か89分の中にこれだけの要素を無駄なく盛り込めるこの手腕は、
間違いなく今後の日本映画界のトップ監督の一人となってゆくべき人材の登場と言い切って良いと思う。
好き嫌いを別にしても今年の日本映画最大の衝撃が来てしまった。
※TBSラジオ「アフター6ジャンクション」より

ライムスター宇多丸
(ラッパー/ラジオパーソナリティー)